ヨガで骨を強くできる?
「ヨガで骨を強くできますか?」という質問を頂きました。
骨が弱くなって、ちょっと転倒して骨折、ということもありますし、その骨折から足腰が弱くなって生活に影響が出ることもありますね。
私も骨粗鬆症が気になる年齢になってきていますので、ありがたいご質問です。
「ヨガで骨を強くできるのか」まとめてみたいと思います。
ご存知だと思いますが、まずは骨の役割を簡単におさらいしてみます。
まずは、体を支えるフレームとしての役割。
続いて運動器としての役割。筋肉や他の器官と連携して体の動きを担います。
そして体を守る役割。頭蓋骨は脳を守り、脊柱は脊髄を守り、胸郭は心臓や肺を守っています。
更に、血液を作るのも骨の役割です。血液の成分のおよそ45%は血球、55%は水分やタンパク質などの液体成分である血漿です。血球は骨の中心部で作られています。
そして最後、質問して下った方も、こちらを念頭に置かれているのではないかと思います。
「カルシウムの貯蔵庫」としての役割です。
カルシウムは、骨の形成と維持、筋収縮、神経興奮の伝達、血液凝固などに関わります。
体内のカルシウムの99%は骨で貯蔵されているそうです。すごい割合ですね。
カルシウム代謝
カルシウムは、どのように代謝するのでしょうか。
食べ物など口から摂取したカルシウムは、小腸で吸収され、骨に貯蔵されます。
一部は血中に遊離し、体の諸機能に関与し、腎臓から体外に排泄されます。
カルシトニン、上皮小体ホルモン(副甲状腺ホルモン)、活性型ビタミンDが、摂取するカルシウムと体が必要とするカルシウムの量のバランスを取っています。
大まかな説明ですが、上皮小体ホルモンは血中のカルシウム濃度を高めるために、骨からカルシウムを出す役割、カルシトニンは血中のカルシウム濃度を下げるため、血中のカルシウムを骨へ沈着させる役割を担っています。
骨の代謝と骨粗鬆症
私が見たことがある「骨」は、白く硬い無機質な物質という印象なので想像しにくいのですが、骨も細胞からなっていますので、新しい骨ができて、古い骨が壊され、活発に新陳代謝が行われています。
老化とともに、このバランスが崩れ、腎臓の機能も衰え、カルシウムの尿への排出も増えます。
さらに、活性化ビタミンDの産生の減少によって腸管でのカルシウムの吸収が悪くなり、血中のカルシウム濃度も減少し、カルシウムが不足します。
カルシウム量のバランスを取っているのが主に上皮小体ホルモンとカルシトニンですが、上皮小体ホルモンの分泌が増加します。
反対に、カルシトニンの分泌は抑えられ、ますます骨の量は減少します。
これが「骨粗鬆症」ー骨の量が減って、骨が弱くなってしまうのです。
骨粗鬆症は女性に多く、40歳以上の女性では女性では男性の4倍、65歳以上の女性では50%は骨粗鬆症と言われています。
女性ホルモンのエストロゲンは、カルシトニンの働きや腎臓での活性化ビタミンDの活性化を促進し、上皮小体ホルモンによる骨形成を促進する作用がありますが、閉経後はエストロゲンが激減してしまうので、急激に骨量が減少します。
女性にとっては、きちんとケアしたいところですよね。
骨を強くするには
骨を強くする、骨量を保つには、以下のことが勧められています。
十分な栄養。主にカルシウムとビタミンD、C、Aがあげられています。
日光浴。カルシウムの吸収量を高めるビタミンDが皮膚で作られ、骨を丈夫にします。
そして適度な運動です。
ヨガでできること
ヨガでできることであれば、「適度な運動」でしょう。
骨は衝撃を与えたり、負荷をかけることで、骨を作る細胞が活発に働き、強くなる性質があります。
衝撃を与えるならば、ジョギングとか、ジャンプなどですが、ヨガではあまりそのような動きはありません。
ジャンプバックなどの動きもありますが、誰もがやりやすい動きかと言うとちょっと難しいと思います。
あとは、立ってかかとを上げたり下げたりすることで、やさしい衝撃を与えることですね。
でもクラス中にあまりこのような動きはしないかなぁ。
そこでヨガでは、負荷をかけること、筋肉をしっかり使っていくことを中心に考えていきましょう。
立位のバランス
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戦士のポーズⅡなど、立位のポーズは下半身の筋肉を強化するのでおすすめです。
特に片脚でバランスを取るポーズは、軸足の付け根に負担がかかるので、骨密度が上がると言われています。
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木のポーズ
太ももの前(大腿四頭筋)や太ももの後ろ(ハムストリングス)、ヒップ(大殿筋)を使うのもおすすめです。
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椅子のポーズ
更に深く骨盤を下げて、膝も開いて深いスクワットの動きも効果的です。
骨盤、大腿骨など下半身の骨を強化します。
後屈のポーズ
腰椎の骨密度の低下を抑制するために、背筋を強化する後屈のポーズも行いましょう。
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バッタのポーズ
背骨の骨折を防ぎましょう。
姿勢も良くなるので、転倒の防止、転倒からおこる骨折の予防にも。
腕の強化
最後は下半身だけでなく、腕の骨も強化するために、腕の筋肉を使うポーズを。
腕を使うバランスのポーズもいろいろありますが、基本ポーズで、やりやすいポーズ。
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下向きの犬のポーズ
ヨガに慣れている方には、腕の強化という感じはないかもしれませんが、初心者の方にとっては結構大変なポーズです。
肩甲骨周りの筋肉から、指先の筋肉まで意識して使います。
まとめ
年齢を重ねても、丈夫な骨と筋肉で、いつまでも健康に楽しく過ごしていきたいですね。
ヨガのポーズで、楽しみながら適度な筋力を養い、骨を強化しましょう!